林雄介のブログ!(はてな)

作家の林雄介。元農林水産省のキャリア官僚。政治評論家。

エルサレム首都問題とは何なのか?。(*^_^*)

いつもありがとうございます。林雄介です。(*^_^*)

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まず、キリスト教に取っては、開祖のイエス・キリストが活動し、処刑され、復活したことになっている場所です。

ところがキリストの死後、ローマ、エルサレム、コンスタンティノーブル、アンティオキア、アレクサンドリアの5つの総主教区制度が導入され、ローマとコンスタンティノーブル以外はイスラム教の支配下におかれます(コンスタンティノーブルも、ギリシア正教の中心地でしたが、イスラム支配下におかれイスタンブールとなります。)

で、カトリックの中心はローマ。ギリシア正教会はコンスタンティノーブルに中心をおき、十字軍の時代には相互破門状態にあり、エルサレムにはギリシア正教の司祭がいましたが、カトリックが十字軍でエルサレムを占領すると、イスラム教とギリシア正教の司祭を追放し、カトリックからエルサレムに司祭を派遣します。

ちなみに、ユダヤ人迫害を大々的にやったのもカトリックです。

次、イスラム教は第1聖地はカーバ神殿があるメッカです。第2聖地は、ムハンマドのお墓があるマディナです。

エルサレムは、ムハンマド幽体離脱(または夢の中)で行き天に昇ったことがある場所です(ムハンマドの昇天体験、肉体のあるムハンマドエルサレムを訪れたことはない)。

ムスリムの間では、ムハンマドの昇天体験は信じられており、エルサレムイスラム教の第3聖地となっています。

ただし、第1聖地のメッカと第2聖地のメディナは、異教徒立ち入り禁止の禁足地指定を受けていますが、エルサレムは異教徒立ち入り禁止指定が出ていません(肉体のあるムハンマドエルサレムを訪問したわけではないため)。

ユダヤ人にとってのエルサレムは、モーゼがエジプトから脱出し、ダビデ王らが神政を行ったエルサレムは第一聖地です。

しかし、「エルサレムサウジアラビアのアッシール地方にあったという、聖書アラビア起源説」(カマール・サリービーの著作)があり、その本によると、サウジアラビアのアッシール地方にエルサレムはあったが、バビロニアによるエルサレム攻略で、ユダヤ人はバビロンに連行され、バビロニアが滅亡し、アッシール地方に戻ったが、エルサレムは廃れており、海上防衛の拠点になっていた現在のエルサレムに第2エルサレムを作ったという内容です。

ちなみに、エルサレムは寒村であり、現在のイスラエルの水源はシリアからぶんどったゴラン高原のため、「神が約束したエジプトより豊かで、安全な場所」が現在のエルサレムイスラエルか?かなり疑問には感じています。

まとめます。

キリスト教→イエスが処刑され、復活した聖地がエルサレムだが、ローマ教会の権威を高めるため、エルサレムは放置。

イスラム教→エルサレムムハンマドが夢(または幽体離脱)で訪問。

ユダヤエルサレムは第一聖地だが、そもそも人が住めるような場所ではなかったので、イスラエル建国まで放置。

19世紀のエルサレムは寒村で、ユダヤ人もムスリムキリスト教徒も、小規模な集落で過疎地に仲良く暮らしていました。

エルサレム問題は、英国が二枚舌外交で、アラビア人とユダヤ人の両方に英国領のエルサレム割譲を条件に第二次世界大戦に協力させたことにより勃発した問題です。

林雄介with,you。