林雄介のブログ!(はてな)

作家の林雄介。元農林水産省のキャリア官僚。政治評論家。

全部雇用と二重構造論 (検索回答)

説明しなかったかな?・・・

全部雇用というのは、戦後、日本の失業率が低かった。ですから、なぜ日本の失業率が低いのか?という説明として、農業や自営業で働いていて、所得が低く、「働きたい仕事をしているわけではない」という研究が全部雇用です。1、給料が低くても、実家の畑を耕していて、失業者としてカウントされていない。ということ。

しかし、1960年代に高度経済成長で、都市部の工場に働きにいき、農村から都市部に労働人口が流出したことで、全部雇用の研究は消えるんです。再度、全部雇用の議論が出始めたのは、バブル経済崩壊後の「失われた10年」、1990年代末から「就職氷河期」の到来で不本意な雇用として全部雇用論が再登場したんですね。ただ、労働経済学では、ドーリンジャー、ピオリーの「内部労働市場」、「外部労働市場」で正規職員と非正規職員の雇用の説明ができたから主流の研究ではないんです。

もう1つは、二重構造論。全部雇用のあとに、大企業と中小企業で賃金格差があるという二重構造論が出てきました。こうした賃金格差研究は東大の石川教授が専門だったんですが、お亡くなりになられて、これはこれで研究が止っているんです・・・。

私が小泉改革の頃、調べたデーターでは日本は学歴別賃金差はほとんどない国だったんですよ。大企業と中小企業の格差はあっても、学歴より勤続年数による賃金差が大きかった。ただし、日本の大企業そのものの従業員数が数割なんですよね・・。ですから、同じ企業内の学歴別賃金格差、偏差値別賃金格差を調べれば、格差があると思うんですが、「調べさせてくれる企業があるのか?」です。

大学別平均年収はアンケートだから、マイナンバーとか公的なもので調べたデーターは存在しないんですよ・・・。

はやし。