林雄介のブログ!(はてな)

作家の林雄介。元農林水産省のキャリア官僚。政治評論家。

只野一郎と江川洋子の1日。(もし首相おまけ小説1)。林雄介著。o(^▽^)o

いつもありがとうございます。林雄介です。もうすぐ、新刊が出ますが、派生小説をオマケで。

首都圏大学。
只野「公務員試験の勉強ですか?」
首都圏大学の図書館で、政治学部大学4年生の江川洋子は、ゼミの先輩の只野一郎に声をかけられた。
只野「試験委員が若干、変更したみたいですよ。慶早大学の高橋先生のテキストも論述用に一読した方がいい。」

只野は、公務員試験に合格したが大学の研究室に残った。
只野「少し気分転換に散歩でもしませんか?」

只野に誘われるままに、江川は図書館を出た。
只野「そろそろ桜の季節ですね。」
2人はキャンパスの中にある池のほとりのベンチに座っていた。
只野「はい。」
只野は生協で買ってきた紅茶を、江川に渡した。

江川は恐縮して、紅茶を受け取る。
只野「江川さんは、国一本ですか?」
江川「日銀なんかは受けてみようと思いますが。」
只野「そうですか。しかし、もったいないな。江川さんは優秀なんだから、留学して国連に行けばいいのに。」

江川「正直、国連にも未練がないといえば嘘になります。ただ、海外の大学院で学位を取って国連に入っても、国連自体に力がないと思うんですね。そうすると、数千万ドルをかけて博士号までとる必要があるのかなと思うんです。」
只野「まあ、正論だろうね。」

只野「財務、経産、総務あたりですか?」

江川「省庁訪問は、一通りまわろうと思いますが、外務省もいってみようと思います。」

只野「外務ね。いろいろみたらいいですよ。まだ、14時か。根岸を散歩してみませんか。」

江川「根岸ですか?」

只野「羽二重団子、森鴎外が通った羽二重団子、なかなか風情がありますよ。司馬遼太郎坂の上の雲に出てくる。」

江川「気分転換に、いってみますか」

只野「いつもね、羽二重団子もそうなんですが、森鴎外が通ったとか、夏目漱石が通ったとかいうんですけどね。単に近かっただけだと僕は思うんですよ。」

江川「只野さんらしい考えですね。でも、そんなものかもしれませんね。」

只野「根津まで歩いて、地下鉄で西日暮里に行って、帰りは不忍池を少し見て帰りましょうか?」

江川「黒船亭ですか?」

只野「古いだけですけどね。」

江川「そういえば、去年の椿山荘のホタル綺麗でしたね。」
只野「今年は、公務員試験と重なるから無理ですね。また、落ち着いたら見に行きましょうか?」

江川「受かっているといいんですけど。」

只野「あなたが落ちる試験なら誰も採用されませんよ。」

二人は根津を散策しながら、とりとめもない話をしていた。
唐突に江川が、誰にいうともなく呟いた。
江川「私、大学院に行った方がいいのかな?」

只野「公共政策に進学する必要はないと思いますよ。国費でいい。課長か審議官くらいまでに新しい道を探したらいいと思いますよ。」

江川「わかりました。」

二人は羽二重団子のお店についた。
江川「でも、上野公園で売っているお菓子をわざわざお店まで食べにくるっておかしな話ですよね。」

只野「酔狂でしょう?」
只野は真顔になると江川にいった。
只野「役所に入ってもね、組織の歯車にならないように遊び心が大切だと思うんですよ。そうしたら、どんなに忙しくても、江川さんは江川さんでいられますよ。上野公園で腹ごなしをして、黒船亭に行きますか。」

江川は黙って頷いた。

林雄介with,you。
「もしも国民が首相を選んだら」(マガジンランド社)〇林雄介公式HP(毎日更新中)
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