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作家の林雄介。元農林水産省のキャリア官僚。政治評論家。

44、国会議員の不逮捕特権!(2012年衆議院選挙・解説:林雄介)

 

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こんな感じで解説しています!。

44、国会議員不逮捕特権!(2012年衆議院選挙・解説:林雄介)

 国会議員は、現行犯逮捕を除き、国会会期中は逮捕されません。これを不逮捕特権といいます。国会議員を、国会会期中に逮捕するには、国会の議決が必要です。ではなぜ、不逮捕特権国会議員には認められているのでしょうか?それは、警察や検察等の国家権力から国民の代表である国会議員を守るためです。国会議員の地位は、「国民の代表者である国民主権を根拠に保障されています」。

 不逮捕特権は、憲法で保障されています。これは、戦時中に国会議員の逮捕、不当拘束を軍部や警察が行ったからです。その反省から、国会議員が、例えば、与党に反対する野党の議員を不当逮捕されると困るので、不逮捕特権があるのです。

45、国会答弁は、官僚がカンペを作る!(2012年衆議院選挙・解説:林雄介)

 国会で、国会議員の質問に大臣が答える答弁は、官僚がカンペを作ります。そのまま、読めるようにしておきます。(括弧)使用禁止です。そのまま、大臣や副大臣が読むので、「2012年(平成24年)」と書くとするとそのまま読むので、「2012年」か「平成24年」に統一します。

 国会質問は、質問する議員が、質問日の前日までに内閣官房の総務官室に「何を質問するのか、質問通告」を出します。この質問通告を受けて、答弁を各省庁でカンペ(答弁)を作ります。質問は、経済産業省なら、経済産業省の担当者が議員本人から「何を質問するか確認を取ります」、そして、「大臣」の質問を「副大臣」や「大臣政務官」に割り振ります。質問する議員は、大臣に質問したという実績が欲しいので、大臣に質問が集中しますが、頼んで「副大臣大臣政務官」に変えてもらいます。(ここから官僚と政治家の癒着が生まれます。)

 各省庁は、想定問答集を国会前に作っているので、「想定問答集」(次官までの決裁を取ってある)の内容を質問してくれるように「誘導します」。族議員は、「質問そのもの」を各省庁に丸投げしてくれます(想定問答は決裁が楽。)国会答弁は、担当課、筆頭課、局長、事務次官、大臣の決裁がないと答弁書として使えません。答弁書が完成するのは、議員次第ですが、わざと質問通告を遅らせるので、出来上がるのは、下手すると翌日の早朝です。大臣には朝1で説明して、そのまま国会に出席していただきます。

悪質な議員は、わざと月曜日の質問を金曜日ではなく、日曜日に「質問通告」を出します。そのため、全省庁の職員が土日に出勤することになります(質問が確定しないと全省庁の担当者が出勤しなければいけなくなります。)

 ただし、全ての大臣が官僚が作った答弁を読むわけではありません。学者出身の民間人大臣は、一応、答弁をお渡ししますが、「自分で自説を展開します」。

 国会答弁は、各省庁の慢性的な残業の原因になり、その分、仕事が止まるので、「重箱の隅をつつくような質問はやめて、国の大きな方向性だけを話し合えばいい」という議論を政治家がしていますが、揚げ足取りになっています。

 本当は、「大きな方向性だけを国会で決めて」、「実務の小さいことは各省庁」と役割分担すればよいと思うのですが、野党が与党を揚げ足取りをしたがるので無理です。政権交代してもお互いに野党時代にやっていたことをやってしまうので、「ワイドショー政治」だなあとつくづく思います。

 政権交代直後に、自民党は元官僚と元国務大臣、元弁護士のエリート議員を総動員して、国会で民主党の素人政権ぶりを強調しようとしました。しかし、「自民党の嫌がらせ」にしか国民にはうつらなかったので、戦略を変えて、国民受けしそうな議員に予算委員会等の質問を任せました。TVで国会中継を見ていたときに、明らかに法律的に与党が正しいことを言っているのですが、国民には法的なことはわからないから、野党が正しいように思うだろうなあと思いました。予算委員会は、TV中継されますから国民受けする議員に与野党とも発言させます。

 

林雄介with,you。

 

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