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作家の林雄介。元農林水産省のキャリア官僚。政治評論家。

49、WTOと貿易交渉のしくみ、TPP問題(2012年衆議院選挙・解説:林雄介)

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こんな感じで解説しています!。

49、WTOと貿易交渉のしくみ、TPP問題(2012年衆議院選挙・解説:林雄介)

 今後、日本は、TPP等の貿易交渉を行うことになります。では、貿易交渉とはどのように行われているのでしょうか?

 まず、戦後の貿易のルールは「GATT」で決められました。戦前、イギリスやフランスはブロック経済を行い、高い関税で日本やドイツをイギリスやフランスの貿易圏から締め出しました。そこで、貿易から締め出された日独伊の三国が第二次世界大戦を引き起こしたので、「自由貿易」を戦後の貿易のルールとしました。その自由貿易のための「話し合いのルールが「GATT」です。GATTは、「WTO」(世界貿易機関)として、自由貿易の促進を行うことになりました。

 外交交渉は、外務省だけで行うのではなく、農産物は外務省を窓口に農林水産省が担当します。自動車や家電は経済産業省が担当します。つまり、外交は、全省庁が関わる話です。

 また、WTOは、例外なく関税を撤廃することを目指していますが、各国によって思惑が違います。開発途上国で農業国は、農業の貿易自由化を訴えています。逆に、先進国の工業製品に対しては、自国の産業を守るために関税をかけようとします。関税というのは、貿易をしたときにかかる税金です。

 例えば、EUと日本は農業の関税撤廃に反対しています。オーストラリア、ブラジル、アメリカは農業の関税撤廃を主張しています。農業補助金は、日本とEUはアメリカの国内農業補助金の削減を求めています。工業製品は、先進国は関税削減、先進国以外は関税削減反対です。国の立場によって、自国に有利になるように交渉するために立場が同じくに同士で共闘することもあるのが、貿易交渉です。

 TPPは、アメリカと日本の事実上の貿易交渉です。これは、WTOで交渉すると、日本はEUと共闘関係にあるため、EUの援護射撃をなくして、アメリカに有利な交渉をするためにTPP交渉をはじめたと考えてよいと思います。

 外交は、善悪ではなく、「自国が有利になるように交渉する」のが大原則です。また、アメリカは、外交交渉の際に第七艦隊(アメリカの太平洋上の主力戦力)等も利用します(要するに恫喝)。EUは、国連安保理の理事国であるイギリス、フランス(両国とも核兵器保有)がいます。そこで、EUの援護射撃がない状態で、日本と話し合う場所としてTPPが利用されるのではないでしょうか?

TPP参加国は、アメリカ以外に核兵器を保有していません。また、国連常任理事国もありません。中国やロシアは国連安保理理事国で、核保有国ですが、日本の援護射撃をする可能性はありません。また、過去のアメリカと日本の貿易交渉で、アメリカが妥協したことはありません。日本が妥協させられています。そこで、日本は、WTOでEU(イギリス、フランス、ドイツ)と組んでアメリカと貿易交渉を行っていたのです。

 

林雄介with,you。

 

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